ワンランク上の動画制作をしたいときは、さまざまなテクニックが求められます。素材を使って要素をプラスするだけでなく、不要なものをカットするようなマイナスの操作も必要でしょう。そのような作業のなかで効果を発揮するのが「透過」という機能です。
透過は画像や写真の世界でよく使われる機能ですが、今まで一度も利用したことがないという人もいるかもしれません。動画でも役立つ透過とは、一体どのようなものなのでしょうか?
今回は動画を透過したい人に向けて、そもそも透過とは何なのか、透過するメリット、特徴と注意点、透過方法などについてご紹介します。
透過とは?
透過とは、背景や任意の色を透明にすることです。イメージとしては、透明なガラスの上に絵を描いたような状態を指します。なにも描いていない部分は背景が透けて見えますが、この状態が透過です。
編集で透過した背景は、基本的には保存すると透明ではなくなります。ただし「透過PNG」などを使うと、背景を透明化したまま保存できます。
動画を透過するメリットとは?
動画で背景を透過すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは3つのメリットをご紹介します。
背景を変えられる
背景を透過すると、既存の背景を違うものに入れ替えられます。街中の風景も一瞬にして山や海などの景色に変えられるため、雰囲気を変えたいときや、特定の背景にしたいときにちょうど良いでしょう。
もちろん現実とはかけ離れたファンタジックな背景にも変えられます。
合成素材を複数重ねられる
動画に複数の画像素材を重ねたいときは、背景が透過されていないとうまくできません。そのため透過作業が必須です。すべての素材の背景が透過されていれば、イメージ通りにうまく重ねられるでしょう。
効果をつけられる
背景の透過は、集中線や汗など、漫画的な効果をつけたいときにも役立ちます。漫画に登場するようなこれらの効果は、背景を透過しないとうまく重ねられないので注意が必要です。
透過の特徴と注意点
便利な透過機能ですが、使用の際には気を付けなければいけないケースもあります。透過には、以下のような特徴と注意点があります。
不透明度も保存される
透過すると任意の色を透明にできますが、100%未満の色がのった状態のままだと、その不透明度も保存されます。中途半端に色がついていると、その色が見えてしまうので注意しましょう。
たとえば50%の白色で描かれたものは、黒い背景に重ねるとグレーに見えるため、イメージがガラっと変わります。
サービスによっては背景色が透ける
SNSなど一部サービスでは、背景色が指定されている可能性もあります。このような場合、背景透過したものを重ねると、サービス側が指定した色の背景になってしまいます。サービスごとに仕様は異なるため、あらかじめ確認しておいたほうが良いでしょう。
背景色が保存されないことも……
画像や映像の編集ソフトでは、設定項目で背景色を指定できる場合があります。この状態で背景透過ファイルを書きだしすると、設定した背景色が消える可能性があるので注意しましょう。
透過とは逆に背景色をつけたい場合は、全体の設定から指定するのではなく、自分で色を塗るなどしたほうが安心です。
動画を透過する方法
実際に動画を透過するには、どのような操作をすれば良いのでしょうか?おもな方法をご紹介しますので、参考にしてみてください。
動画編集で背景を切り抜く
動画編集ソフトのなかには、背景を切り抜く機能を搭載しているものもあります。多くの場合、背景部分を選択して削除します。細かい作業ですが、自動選択できるものもあるのでチェックしてみると良いでしょう。
現在利用しているソフトに該当する機能がない場合は、別途切り抜き可能なソフトを用意して、背景のみカットする必要があります。
参考記事:動画の背景を切り抜く方法は?おすすめアプリ&ソフト紹介
クロマキー合成を使う
背景が単色の動画なら、人物の切り抜きに利用される「クロマキー合成」の機能が使えます。人物を抜き出せば自然と背景がなくなるので、背景透過するのと同じ状態になります。
本格的にクロマキー処理する場合は撮影時から準備が必要ですが、ソフトによっては手軽にこの機能が使えます。
参考記事:動画から人物だけ切り抜きする方法は?おすすめアプリ&フリーソフト
アルファチャンネルを利用する
動画ソフトによってはアルファチャンネル付きのものがあります。アルファチャンネルは透過度の情報を扱うデータ領域で、これを加えると半透明の表現ができます。動画ソフトを選ぶ場合は、事前に使用可否をチェックしておくと良いでしょう。
PNG形式で出力する
PNG形式で出力すると、背景の透明色を保てます。動画素材をほかにも重ねたい場合は、PNG形式にしておくと便利でしょう。
また、動画に重ねる画像素材などもPNG形式のものを選ぶのがポイントです。重すぎるファイルはPNGにするとサイズも軽くできるため一石二鳥かもしれません。
まとめ
動画を透過すると、背景を違うものに差し替えられるため幅広い表現が可能です。現実には不可能なシーンも簡単に作り出せるので重宝するでしょう。そのほかにも、たまたま映り込んだ通行人や著作権にかかわる建物など、作品に映したくないものをカットできます。
アプリやソフトによって機能が違うため、場合によっては細かい作業が必要になりますが、効果的に利用すればより良いビデオづくりに役立ちます。
便利な背景透過機能を、今後の動画制作に活用していきましょう!