フリーランスでイラストレーターを考えている方、あるいは、フリーランスでイラストレーターを目指している方。
ご覧下さり、ありがとうございます。
この記事では、フリーランスを始めるにあたり必要な仕事の心がけと、面倒な税金関係の『実は簡単な』確定申告のポイントをご紹介していきます。
どうぞ、最後までご覧頂けると幸いです。
【5つの仕事の心がけ】
1)自分のイラストの良さを分析しよう
まず、自分がどのようなイラストを描くことが得意なのかという『イラストの強み』、そしてどのようなイラストを描くことが出来るのかという『イラストの幅』を分析することが大事です。
例えば下記のような特徴の中から、自分の特徴を考えてみましょう。
- 老若男女のキャラクターデザイン
- モンスター等のキャラクターデザイン
- 背景(和風、洋風)
- カードゲームにあるようなアイテムデザイン
- テレビや広告で使用するような可愛らしいイラスト
- 服装(ドレス、和服、民族衣装等)
- アプリで使用するドット絵
分析するには、今まで描いてきたイラストをすべて見返してみると良いでしょう。どうしても頭で考えただけで分析してしまうと視野が狭くなってしまいます。そのため、実際に書いたイラストを見返すことで、客観的な立場から新しい気付きがあります。どのようなイラストを多く書いているのか、そして会心の出来栄えのイラストはどんな特徴があるのか。そういったことを書き出すことで、自分のイラストの分析を行います。
ところで、よく「自己分析は大事」と言われますが、どうして分析は大事なのでしょうか。
以下の理由が挙げられます。
- 得意な分野を視覚化することで、得意分野と不得意分野を明確にできる
- 自分の得意な分野をより特化することができる
- 得意分野を伸ばしつつ、補助的な得意分野を開拓することができる
- どのような分野の市場で活躍できるのかが客観的に把握できる
- 発注者にプレゼンする時に、分かりやすく明確に自分のセールスポイントを伝えることができる
イラストレーターとして成功するためには、得意分野に特化して競争力を高める必要があります。その得意分野を特化するために、まず自己分析からはじめてみましょう
まとめ
- 得意なイラストの特徴とイラストの幅を知る
- 得意分野で勝負できる市場の分析
2)最大限自分の魅力を伝えられるような自己PR商品を作成しよう
自分の魅力を『分析』できたら、今度は『宣伝』です。
人は第一印象で、物事を判断します。
パッと見て、その良さが分からなければ、耳を傾ける聞く気持ちがなくなってしまいます。後出しで良いものを見せようとしても、最後まできちんと付き合ってくれる人はほとんどいません。
そこで重要なのは『ポートフォリオ』です。
まずは、自分の魅力を最大限活かされているイラストをいくつか選びましょう。選んだイラストをインターネットで宣伝します。ホームページ、ブログを媒介に紹介するのが一般的です。その際にはポートフォリオを意識しましょう。
- 得意な絵の中で、書き込み数の多い一番目を引くイラストをトップに表示します
- 次ページ以降に、いろいろな種類のイラスト(人物で例に挙げると、左向きと右向き、3頭身キャラと8頭身キャラなど)を記載します
もっと続きが気になると読み手に思わせるポートフォリオを構築できれば、それは仕事を獲得するための大きな一歩です。
そして、名刺の作成もオススメです。
社会に出ると、名刺交換はほぼ必須の営業ツールになります。名刺は5.5 × 9.1 センチという小さな紙に情報を集約させます。こだわった名刺を持つと、やる気も自然と湧きますので、仕事のモチベーションアップに良い影響を与えてくれます。
まとめ
- 出来栄えの良いイラストの中から、パッと見て目を引くイラストを選ぶ
- ホームページやブログ等を使って、インターネット上で宣伝する
- 続きが気になるポートフォリオを構築する
- こだわった名刺を作成する
3)仕事探しの窓口を探そう
自己PRするための手段が揃ったら、いよいよ仕事探しの窓口を探しましょう。
仕事探しの窓口というと、主に4つあります。
- 個人的な人脈
- クラウドサービス
- イベント交流会等の参加
- SNS
直接企業に売り込むという手段もありますが、余程自分のイラストに自信があり、提案・企画力が高くないと採用は難しいので、ここでの紹介は省略します。
個人的な人脈を既に築いているなら、これほど仕事の窓口として最適なものはありません。その人の人となりとイラストを鑑みて仕事を斡旋してくれるので、仕事の確約をある程度保証してくれます。ただ、すべての人が最初から個人的な人脈を築くことは不可能です。最終目標として、人脈だけでほぼ仕事ができるように努力すること目指しましょう。
それでは、人脈のない人はどうするのか。
SNSやイベント交流会等の参加を通じて自己発信する方法と、クラウドサービス(例:SKIMA)を通じて間接的に仕事の受注をする方法とに大別することができます。どちらか一方だけに絞ってしまうのは、仕事の受注の機会を逃してしまいかねないので、出来る限り仕事探しの窓口は広めに設定しましょう。
クラウドサービスは受注して料金を得るだけでなく、実績作りの手段としても使えるので、どんどん登録して様々な仕事を通して実績を作りましょう。ただ、実績作りのために単純に成功数を増やすのではなく、質の良い仕事を数多く受注することと、安請け合いをしないことに気をつけて下さい。
質の高い仕事は、自分のイラストをより成長させてくれます。誰かに見せる目的もなく趣味で10枚のイラストを描くよりも、仕事という様々な制約や要求のある中で1枚のイラストを描きあげる方が、様々な工夫や試行錯誤をするために、イラストレーターとしての達成感や技術の向上は遥かに上です。
また、安請け合いをしてしまうと、足元を見られて安価な仕事しか回してくれなくなることもあります。サービスをするなら、料金を割り引くのではなく、付加価値の高い成果によってサービスをするように心がけましょう。
まとめ
- 個人の人脈を通して安定的に仕事を受注する事を最終目標にする
- 仕事探しの窓口はなるべく広く設定する
- 失敗を恐れずに質の良い仕事や難しい仕事に挑戦する
4)仕事をする上でのマイルールを決めよう
フリーランスの最大のメリットは、仕事受注の裁量の自由です。
会社に勤めていないので、就業場所を定められること無く、好きな業務を好きな時間に、好きな場所で行うことができます。そこに魅力を感じてフリーランスを考えている人は多いのではないでしょうか。
ただ、自由だからこそけじめをつけて仕事に取り組まないと、プライベートの時間との区別ができなくなります。
その結果、望んでいたはずの仕事の自由な時間が、プライベートの自由な時間を奪ってしまいかねません。
そうならないためにも、仕事のルールを決める必要があります。
【ルール一覧(例)】
- 納期厳守のスケジューリング
- 迅速なレスポンス
- 無茶な仕事を断る
- 仕事の範囲
- 料金(作業時間やイラストの価値を考慮)
- 休日
仕事の上でのマイルールを決めたら、必ず守りましょう。
仕事の裁量が自由だからこそ、自己を律することが何より重要です。
素敵なフリーランスイラストレーター生活をするためにも、こだわりの仕事のマイルールを探してみましょう。
まとめ
- 仕事は自由であるため、自分でルールを決め、厳守する
- 仕事とプライベートのメリハリをつける
- 自己を律することがフリーランスでは重要になる
5)創意工夫を凝らした自慢の作品の説明をしよう
仕事の心がけの最後は、「自分はこんなに素敵なイラストを描きました」と説明することについてです。
自己PRに似ていますが、少々主旨が違います。
例えば、発注企業に応募する場合、企業の求める作品に対して、自分の作品は「どのような創意工夫を凝らしたイラスト」なのかを『言葉』を尽くして、説明しなければなりません。
イラストを見ただけで、その意図を伝えることができれば、最善です。けれども、すべての意図をイラストのみで伝えることは非常に難しいことです。どんなに素晴らしいイラストを作成しても、その意図や工夫、表現が相手に伝わらなければ、採用されない可能性が高くなります。せっかくの努力を無駄にしないためにも、誠心誠意自分の意図を伝える『言葉』を尽くさなければなりません。
自分の意図を伝えるための『言葉』をすぐには身につきません。伝えるための『言葉』、つまり提案力を幾つかの仕事を通して徐々に身につけましょう。
まとめ
- 作品の意図や工夫を伝えるための『言葉』が必要になる
- 提案力を身につける
以上が、「5つの仕事の心がけ」です。
ここまで、ご覧下さり、ありがとうございます。
続いて、「3つの確定申告のポイント」を説明します。
【3つの確定申告のポイント】
仕事の心構えに続き、今回はフリーランスになる上で避けては通れない確定申告における節税のポイントをまとめました。
国は、個人が一年間で得た所得に応じて、税金を課しています。それを毎年3月15日(土日祝日によっては日にちは変ります)までに確定申告書を提出し、納税することを定めています。一般の企業に勤める人であれば、年末調整が確定申告にあたります。具体的に言うと、個人経営している人や、給与以外に株などの副業により所得を20万円以上得ている場合に、確定申告をすることになります。もちろん、医療費控除等を適用する場合も年末調整が済んだ後に確定申告をして税金の還付を受けることができます。詳しくは国税局のホームページにてご確認下さい。
確定申告は、お金の話であり、上記の説明だけでも、難しいように思うかもしれません。
けれども、クラウドサービスが充実してる現在において、確定申告は以前よりもずっと手間がかからなくなりました。そして、起業家にとっては多くの節税特典を簡単に受けることができるようになりました。
次から、確定申告を簡単にするポイントとその節税特典をご紹介します。
1)確定申告は青色申告をしよう
まず、フリーランスを始める場合、1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」の原本とコピーの2部(原本は税務署に提出するので、コピーを控えとして保管します)を最寄りの税務署へ提出しましょう。
書面の書き方や、手続きの流れなどは上記のURL先に記載されています。届出書や申請書はインターネットから印刷することもできますが、お近くの税務署にも書類がありますので、お好きな方法で書類を準備して下さい。
リンク先を確認すると、「個人事業の開業・廃業等届出書」は事業を開始してから1ヶ月以内に提出するようにと記載されていますが、「所得税の青色申告承認申請書」は事業を開始してから2ヶ月以内、または、青色申告の適用を受けたい年の3月15日までに提出と書かれています。
なぜ、事業開始と同時に必要ではない「所得税の青色申告承認申請書」を提出するかというと、節税効果が非常に高いからです。
確定申告が青色申告であれば、下記の特典を受けることができます。
- 特別控除(10万円、65万円):所得金額から10万円又は65万円を控除
- 専従者給与の経費算入:身内に支払う給与を「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した金額以内に支払う場合、必要経費として計上可能(詳しくは届出書のリンク先参照。分からなければ、お近くの税務署に電話でお問い合わせ下さい。)
- 純損失の繰越:所得金額が赤字になる場合、翌年以降3年間にわたって繰り越して、各事業年度の所得金額から控除
※所得金額とは(売上-事業を行う上で必要な経費)の金額を指します。
※この他に節税特典もありますが、専門知識を必要とする特典なので、紹介を省略します。
他にも青色申告の個人事業者の場合、年間300万円以内であれば、1台につき30万円未満の固定資産(パソコン、周辺機器等)を購入した年の経費として計上することができます。(詳しくは少額減価償却資産取得原価の特例を参照)
特別控除10万円を受ける場合、白色申告とほぼ変わらない簡便な方法での申告になるので、同じ手間なら上記の節税特典がある青色申告をオススメします。平成26年1月から白色申告でも、記帳と帳簿の保管が義務付けられました。その結果、白色申告と青色申告(特別控除10万円)の大きな違いは申告書の書類の種類が異なることだけです。項目は若干異なりますが、必要な項目だけに絞るとその差はありません。
ただ、特別控除65万円になると、確定申告をする際に必要な書類が難しくなりますので、経営が上向いた頃に税理士に相談して特別控除65万円を申請するか相談しましょう。
税務署はきちんと申告をする人には親切です。もし申告する際に分からないことがあれば、電話での対応もしてくれますが、確定申告期間限定で相談所や申告会場を設置して対応してくれます。また、国税局のホームページには手引書やパンフレットが公表されています。更に、青色申告をはじめる人向けに情報をまとめた案内書も手引書のひとつとして公表されています。
まとめ
- 「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を事業を開始してから1ヶ月以内に提出する
- 確定申告で分からないことがあれば、税務署に電話をして相談しましょう。
2)仕事用の通帳を作成しよう
仕事用の通帳を作るには、一般的に上記の「個人事業の開業・廃業等届出書」が必要になります。詳しくは、事務所の最寄りの金融機関にて確認をして下さい。
それでは、わざわざ仕事用の通帳を作成するメリットはなんでしょうか。
<メリット>
- 事業に関するお金の入出金を一つの口座に集約することができる
- 個人で使用したお金と事業で使用したお金を明確に分けることができる
- 確定申告に必要な帳簿を作成する際にお金の流れが把握がしやすくなる
以上、3つのメリットが主に挙げられます。
重要なメリットは、事業に関するお金の入出金を一つの口座に集約できるということです。これにより、わざわざ取引を一つ一つ入力しなくても、パソコンとインターネットを使用して自動で帳簿を作成することができるようになります。
現在、クラウドサービスが盛んになっており、会計システム分野においてもクラウドサービスが参入しています。会計システムにおけるクラウドサービスには、金融機関の口座やクレジットカードを登録することで、自動で記帳作業を代行してくれるという最大のメリットがあります。
以下に代表的な会計クラウドサービスをご紹介します。
- MFクラウド確定申告
- freee
クラウドサービスの自動化により、手軽に帳簿を作成できるようになりました。
まとめ
- 仕事用の通帳を作成する
- 会計クラウドサービスを活用して、帳簿作成の手間を大幅に削減する
3)購入した費用の領収書はきちんと管理しよう
平成26年1月より、帳簿作成と領収書等の証拠書類の保管義務がすべての事業者に課されることになりました。
仕訳帳等の帳簿に関しては7年、領収書等の書類に関しては5~7年の保存期間が設けられています。(詳しくは国税局ホームページ参照)電子保存も認めているようですが、申請書の提出が必要になります。まだ、フリーランスイラストレーターとして活動を始めて間もない頃は、紙媒体の保存で問題はないでしょう。
保存方法は特に定められていません。
後々の確定申告時期に必要になるかもしれませんので、確定申告時の作業時間を短縮するためにも時間のある時に分別するといいでしょう。
以下に書類の分別例を挙げます。
- 売上(収入)に関する書類と費用(支出)に関する書類に分別し、2つの大きな封筒(角2封筒サイズ)に「平成〇〇年収入(費用)」と記載して保管する
- 書類を分別せずに、1つの大きな封筒に「平成〇〇年確定申告」と記載して保管する
量が少なければ、書類をなくさないために5年分同じ封筒に保管する方法もあります。スナップブック等に領収書を貼り付ける方法は、後日資料を請求場所に分けたり、日付ごとに分けたりする際に大変な手間がかかるので、封筒で管理する方法がオススメです。
書類を紛失してしまうと、税務調査により指摘される可能性もありますので、紛失しないように心がけましょう。
書類を管理する上で重要なことは、書類をなくさないことと、時間をかけないで済む方法かどうかということです。
まとめ
- 書類は大まかに分別する
- 書類を紛失しないように気をつける
以上が、「3つの確定申告で抑えるべきポイント」です。
この分別した資料と仕事用の通帳を持ってさえいれば、青色確定申告はすぐにできます。さらに会計クラウドサービスを導入すれば、2時間もかからずに終わるはずです。
知らなければ難しい税金の話ですが、段階をきちんと踏まえれば簡単にできます。
確定申告は、ぜひ青色確定申告を利用して節税を心がけましょう。
最後に
最後までご覧下さり、ありがとうございます。
少しでもフリーランスイラストレーターとしての活躍する将来を想像することができたでしょうか。
今回ご紹介したのは、フリーランスイラストレーターとして活躍するために必要な導入部分です。
より活躍するために必要な知識・技術は様々です。
けれども、どんなに有名なイラストレーターでも試行錯誤を繰り返して、現在の活躍に繋がっています。
踏み出さなければ、成功はありません。
最後までご覧くださったみなさんのこれからの活躍を心待ちにしております。