ネットやSNSが普及し、イラストレーターや、アマチュアの絵師が作品を公開する場はどんどん増えてきています。
それに伴い、イラスト投稿サイトに投稿した漫画が書籍化される、SNSで公開したイラストがきっかけでイラストレーターとしての仕事を得るなど、絵でお金を稼ぐ方法も増え、自由度が高くなってきていますね。
そんな中、海外ではキャラクターを売買する「Adopt(アドプト)」や、オーダーメイドのイラストを作成する「Commission(コミッション)」のような文化も流行し、ますます広がりを見せています。
今回の記事では、「Adopt」という文化について、詳しくご紹介していきます。
「Adopt」とは
まずは、Adoptについて簡単にご紹介します。
Adoptの概要
”Adopt”(アドプト)とは、「デザインしたオリジナルキャラクターを売買する文化」のこと。
現在は主に、海外のイラストレーター達の間で流行しています。
もともとAdoptという言葉は、「採用する」「受け入れる」「養子にする」という意味。
そこから転じて、
「オリジナルキャラクターを里子に出す」
「誰かが作ったキャラクターを養子として受け入れる」
というようなニュアンスで、キャラクターの売買を“Adopt”と表現しているようです。
日本で創作活動を行っている方の中には、オリジナルキャラクターを「うちの子」「我が子」と表現する人も多くなっているので、この「キャラクターの養子縁組」という考え方は、日本でもすんなりと受け入れやすいのではないでしょうか。
「コミッション」との違い
Adoptに似た文化に「コミッション(Commission)」があります。
コミッションもAdoptと同じ海外発祥の文化ですが、こちらの意味は「有償のイラストリクエスト」。
「あなたの作風で、こんなイラストを描いてほしいです!」という依頼を受け、オーダーメイドのイラストを作成する文化です。
- Adopt=「既に完成済みのオリジナルキャラクターを売る」
- コミッション=「有償のイラストリクエストを受ける」
というように覚えておくと、間違いがないかもしれませんね。
「コミッション」について詳しくはこちら!
コミッションについては、こちらの2記事でより詳しく紹介しています。
コミッションの方法や相場に興味がある方は、是非、こちらも読んでみてくださいね。
→『コミッションって何?お金を払ってイラストをもらう?』
→『気になる!【イラストコミッション】の相場ってどのくらい?』
Adoptの基本ルール
ここからは、Adoptの基本的なルールについて紹介していきます。
キャラの種類はオリジナルならなんでもOK?
Adoptが盛んに行われているのは、主に『DeviantArt』のような、海外のイラスト投稿サイト。
Adoptで販売するキャラクターの種類に決まりはなく、衣装まで凝ってデザインされた人間キャラクターや、個性的なドラゴン、幻獣などのモンスター、動物系のキャラクターなど、かなり幅広い種類のキャラクターが公開されています。
また、キャラクターをどこまで作り込むかも自由なので、人によってはキャラクターの外見だけではなく、性格や住んでいる場所など、細かい設定まで決めていることも。
購入者に守ってもらうルール
Adoptでは、購入者にキャラを可愛がってもらうため、キャラを使用する上でのルールを設定しているイラストレーターが多くなっています。
以下に代表的なルールをまとめたので、Adoptを行う際には、必要に応じて設定してみてください。
【デザイン変更の制限】
「細かい部分は変更OK」としている人もいれば、「色、形、装飾の変更NG」「名前、設定、性格も変更NG」など、細かく定めている人も。
Adoptでは、法律や規約よりも「作者がどこまで許すか」が、そのままキャラクターのデザイン変更の許容範囲になっているといえるでしょう。
【自作発言、転売の制限】
キャラクターが心ない購入者に買われた場合、別のAdoptで転売されてしまうことも……。
それを防ぐため、転売を禁止するルールを設けているイラストレーターは多くなっています。
中には、「加工しないまま転売するのはNG」「購入時以上の金額での転売はNG」など、ややゆるい設定にしているイラストレーターもいますが、自分のキャラクターを守るためには、転売は全面的に禁止しておくのが無難かもしれません。
【商用利用の制限】
キャラクターの商用利用を禁止している人もいます。
販売したキャラクターを商業目的で使われたくない場合は、このルールも記載しておきましょう。
では、実際に「Adopt」をする時の手順について、詳しくご紹介していきます。
「Adopt」の手順を紹介
ここからは、実際のAdoptの手順についてご紹介していきます。
1:キャラクターをデザインする
まず、Adoptで販売するキャラクターを作成します。
美少女や青年、モンスターなど、キャラクターの種類に制限はないので、自分の得意なキャラクターを、じっくりこだわって作り上げていきましょう。
2:キャラの資料、設定画を用意する
キャラのデザインが固まったら、紹介用の資料を作成します。
見た人が購入を判断する材料となるので、キャラの全身が入った見やすい資料を作成しましょう。
キャラを前、横、後ろから見た図や、さまざまな表情、衣装やデザインの細かい設定などを描き加えておくと、見た人が購入を決めやすくなります。
3:Adoptの募集をかける
先ほどご紹介した注意点や、金額の設定などを表記し、Adoptを募集しましょう。
現状だと海外のサイト(DeviantArt)で募集をかけるか、SNSやサイトなどで「Adopt募集中」と表記するのがいいかもしれません。
募集時には、キャラの資料に自分のサインを入れる、「SAMPLE」の文字を絵の上にかぶせる、画質を下げるなどの加工をし、購入者以外の人が画像を使えないようにしておきます。
4:契約~キャラクター譲渡
募集に応募がきたら、金額やキャラクターの用途などを確認し、報酬とキャラクターのイラストを交換します。
相手にキャラのイラストが届き、報酬の振込が確認できれば、交渉は完了です。
Adoptの相場感は?
Adoptでは、金銭のやり取りが発生します。
キャラクターの金額をどのように設定すればいいのか、あらかじめ確認しておきましょう。
金額はピンキリ
Adoptで公開されるキャラクターは、人物やモンスター、デフォルメキャラクターなどさまざま。
また、キャラクターに着せる衣装や武器、モンスターの翼や角など、パーツのみを売る場合もあるため、15ドル~100ドルと、金額にはかなり差があります。
相場とまでは言えないかもしれませんが、よく見かけるのは50ドル~80ドル(約5,400円~8,600円)程度の金額設定です。
※2018年2月7日現在
Adoptでは「オークション」が多い?
Adoptでは、オークションという形でキャラを売る場合が多くなっています。
この場合は入札開始時の金額と、即決金額を提示し、入札者にキャラクターを譲渡することになります。
入札開始時の価格は、20~40ドル(約2,200円~4,400円)程度に設定されていることが多くなっていますね。
※2018年2月7日現在
まとめ
自分でデザインしたキャラクターを販売できるAdopt。
キャラクターデザインが好きな人や、新しいキャラクターを次々に生み出すのが得意な人、キャラデザ修行中の人は、とくにAdoptに向いているかもしれませんね。
今回の記事を読んでAdoptに興味を持った方は、ぜひ自分でもチャレンジしてみてください。