広告やサイトの作成、企画など、仕事でイラストが必要になる場面は多いですよね。
そんな時には、デザイン会社やイラストレーターに依頼して、イラストを発注する必要があります。
しかし、イラストの発注はなかなかハードルが高く、難しいもの。
クリエイターに思い通りの作品を仕上げてもらおうとすると、多大な時間やお金がかかってしまうことも……。
今回の記事では、イラスト発注の手順や、発注時の注意点などについてご紹介していきます。
イラストが必要になるシーン
まずは、イラストが必要になるシーンをいくつかご紹介します。
広告、冊子を作る時
会社の宣伝、商品紹介などで、広告や冊子を作る機会は多いのではないでしょうか?
広告や冊子を目にとめてもらう、読んでもらうためには、凝ったデザインやロゴ、イラストなどが必要になります。
Webサイトを作る時
企業のWebサイトで、文章ばかり載せたサイトは敬遠されやすいもの。
親しみやすい雰囲気にするため、会社や団体のWebサイトにもイラストを入れる企業が多くなっています。
オリジナルキャラクターを作りたい時
会社や団体のマスコットとして、キャラクターが必要になる場合もあります。
近年の「ゆるキャラ」人気もあり、キャラクターの有無は、企業にとって重要なポイント。
そのため、イラストレーターやデザイナーなど、プロに本格的なキャラクターデザインを依頼する場合がほとんどになっています。
依頼~取引完了までの7つの手順
ここからは、実際に発注する際の手順について、簡単にご説明します。
1:依頼内容を簡単に説明する
まず、イラストレーターに連絡し、依頼内容を伝えます。
この時、依頼したい案件について簡単に説明し、仕事を受けてくれるかどうか、イラストレーターに確認を行いましょう。
依頼を受けてもらえるようであれば、さらに詳細を伝えるためミーティングの日程を決めます。
2:メールや電話でor直接合ってミーティング
イラストレーターと、依頼についてミーティングを行います。
メールや電話だけで済ませる場合もありますし、オフィスやカフェなどで、直接会って打ち合わせする場合もあります。
このミーティングでは、
- どんなイラストが欲しいか(キャラクター、風景画、リアルな似顔絵など)
- イラストの使用用途(何に使うイラスト?印刷する?サイズは?)
- イラストの納期
- 報酬について(報酬金額は?どのタイミングで支払う?修正やキャンセルの金額は?)
- 今後のスケジュール
などについて、細かく話し合います。
3:ラフスケッチを確認する
イラストレーターの作業が始まると、ミーティングや、渡した資料を元に描いたラフ画が提出されます。
線のみでざっと描いたもの、下書きに軽く着色したもの、線画まで整え、ほとんど完成しているように見えるものなど……、ラフ画はさまざま。
どんな状態でラフを提出してくるかは、イラストレーターによって異なります。
4:修正点をフィードバックする
ラフ画の段階で、「ここをもう少し長くしてほしい」「もう少し明るい色にしてほしい」など、細かい修正や要望を伝えておきます。
発注に慣れていないうちは、あらかじめ「フィードバックしやすくするため、ラフは簡単に着色した状態で提出してください」、と伝えておくと安心かもしれません。
後出しで指示をすると、修正が重なって完成が遅くなったり、追加料金がかかったりする可能性があります。
5:イラストレーターの作業開始
ラフ画にOKを出すと、イラストレーターは指示に沿って作業を進めていきます。
線画や着色の段階で確認をはさむ場合もあれば、そのまま完成まで進めてしまう場合もあります。
何度か途中経過を確認したいのであれば、スケジュール決めの時点で伝えておきましょう。
6:完成品を最終確認する
イラストレーターが仕上げまで終えた作品を確認し、何も問題がないようであれば、納品してもらいます。
ここが修正を依頼できる最後のチャンス。
サイズや保存形式、印刷への対応など、細かい部分に指示との間違いがないか、しっかり確認することを忘れずに行います。
7:報酬を支払う
納品されたものに問題がなければ、料金を支払って取引終了です。
もし、ここまでに何度も修正を依頼していた場合、その分の追加料金が発生する場合があります。
イラスト発注にかかる費用は?
発注の手順についてご説明してきましたが、イラスト発注時にかかる金額は、「いくらくらいかかるのか?」気になるところかもしれません。
ここでは、イラスト発注にかかる費用の相場についてご紹介します。
イラスト発注の費用相場
日本イラストレーター協会(JIA)が定める相場は、
例えばパンフレットなどで10cm角に納まるくらいの小カットとして使用する場合、モノクロイラストで1点あたり3,000円〜5,000円、カラーで5,000円〜10,000円というところが相場です。
となっています。
あくまでも日本イラストレーター協会内での相場ですので、ひとつの基準として覚えておくといいでしょう。
デザイン会社、イラスト制作会社の場合
デザイン会社、イラスト制作会社に制作依頼をする場合、1カットで5,000円~20,000円程度、A4サイズで20,000円~程度が相場といわれています。
同じイラストサイズ・発注部数でも、会社によって料金が変動するので、いくつかの会社に相談して比べてみるといいかもしれません。
フリーランスの場合
1カットごと、時間ごとなど、料金の設定方法は人によってさまざま。
フリーランスの場合は個人との交渉になるので、予算に合わせてくれたり、細かい相談に乗ってくれたりすることも。
特に、仕事慣れしているイラストレーターは、制作期間や料金に融通がききやすい傾向があるようです。
うまく交渉すれば、デザイン会社より安く良いものが発注できるかもしれません。
ただし、人気で知名度のあるイラストレーターは、依頼額も安くないことがほとんどです。
発注時におさえるべき6つのポイント
最後に、発注をスムーズに進めるために、気をつけるポイントをご紹介します。
参考資料を用意する
ものの位置や、キャラクターのポーズなどは、言葉だけでは伝えにくいもの。
言葉での説明が難しいと感じた場合は、依頼のイメージに近い参考画像を用意すると伝わりやすい傾向にあります。
直接話し合えず、メールや電話でしか指示が出せない場合、この方法は特に有効です。
イラストの用途を事前に伝える
発注時に忘れてはいけないのが、使用用途を事前にイラストレーターへ伝えること。
イラストはあくまでも作者の著作物。何にでも使っていいというわけではありません。
例えば、雑誌の挿絵として、キャラクターイラストを発注したとします。
挿絵用としてもらったイラストを勝手にグッズにしたり、別の用途に使ったりすると、作者の著作権を侵害しかねません。
事前に伝えていない用途で使う際には、必ずイラストレーターに確認をとりましょう。
納品形式をしっかりチェック!
jpegファイル、PDFファイル、aiファイル、psdファイルなど、納品時のファイル形式については、最初に伝えましょう。
ファイル形式に詳しくない場合は、「綺麗に印刷できる形式にしてほしい」「背景が透明になる形式にしてほしい」など、イラストレーターに相談してもいいかもしれません。
後からファイル形式の問題が発覚した場合、修正が難しいこともあります。
予算と納期を正しく把握する
料金については最初に明確にし、お互いが納得した金額を設定します。
また、納期の確認は非常に大切なこと。
イラストがすぐに必要で、あまり納期を取れない場合は、依頼料金を高めに設定しましょう。
支払い方法に注意する
信頼できるイラストレーターなら前払いでも問題ありませんが、初めて発注する相手であれば、全額後払い・半額のみ前払いという契約にしたほうが安全かもしれません。
支払いのタイミングについては、しっかりとお互いで話し合って決めておきましょう。
修正依頼は、なるべくラフの段階で
お金を払って依頼しているとはいえ、何度も修正を依頼したり、完成間近になってから大幅な修正を依頼したりするのはマナー違反。
サービスの範囲内として対応してくれるクリエイターもいますが、本来なら修正料金がかかることを忘れないようにしましょう。
追加料金がかかる程度なら痛手も少ないですが、場合によっては契約自体が破綻しかねません。
修正してほしい箇所は、なるべくまとめて、ラフの段階で伝えましょう。
依頼側の中で完成のイメージを固めておくと、的確な指示が出しやすいかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介したいくつかのポイントをおさえれば、イラスト発注の交渉が安全に進みやすくなります。
発注をスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
また、プロ・アマ問わず、フリーランスで活動しているイラストレーターに依頼する方法については、
コチラの記事でも詳しくご紹介しています。
フリーランスのイラストレーターへの依頼を考えている人は、合わせてご参照ください。
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