外国人労働者の増加や日本企業の海外進出に伴い、英語の動画マニュアルを導入する企業が増加しています。
その際、ただ映像を英語化するだけではなく、外国人労働者の理解度・品質・使いやすさを高めるための工夫が必要です。
そこで、本記事では効果的な英語の動画マニュアルを作る方法とポイントを解説したのち、多言語対応のマニュアル作成ソフトを紹介します。
英語の動画マニュアルの必要性

英語の動画マニュアルは、「外国人労働者を採用したい企業」や「製品・サービスを海外展開したい企業」に欠かせないツールです。
ここでは、それぞれの場合における英語の動画マニュアルの必要性を解説します。
外国人労働者の採用
日本国内では、製造業や介護・宿泊業などで外国人労働者の採用が進んでいます。
しかし、外国人労働者にとって日本語による教育は、専門的な内容や微妙なニュアンスが理解しにくい学習方法です。
実務の習得に時間がかかってしまうことから、企業の即戦力化における障壁の一つになっています。
そこで、英語の動画マニュアルを導入することで、視覚と聴覚の両方から理解の促進が見込めます。
日本語が得意でないスタッフでも短期間での業務の習得につながるとともに、日本人の教育担当者の負担も軽減できるでしょう。
製品・サービスの海外展開
海外向けに製品・サービスの販売を行う場合、世界で最も使用者が多い英語のマニュアルを用意することは必須です。
英語動画マニュアルがあれば、ユーザーサポートを強化し、理解度・満足度を高められます。
結果としてお問い合わせ件数の削減やクレーム対応の効率化にもつながります。
英語の動画マニュアルを作る方法
英語の動画マニュアルを作る方法には、「自社で内製する」「多言語対応のマニュアル作成ソフトを利用する」「制作会社に依頼する」という3つの選択肢があります。
求めるクオリティやかかる工数・費用などを総合的に判断し、自社に適した方法を選びましょう。
自社で内製する
自社で動画マニュアルを内製する方法は、社内に動画編集スキルや翻訳対応が可能な人材がいる場合に適しています。
撮影から編集、翻訳字幕の作成までを自社で行うため、初期費用を抑えつつ柔軟に内容を更新できるのが大きなメリットです。
また、現場の実態に即した内容を即時反映しやすいため、現場向けマニュアルとの相性も良好です。
一方で、一定の制作スキルが求められるうえ、翻訳には専門的な知識が必要となります。
内容の正確性や表現の自然さを担保するために、ネイティブチェックなどの体制を整えることが重要です。
多言語対応のマニュアル作成ソフトを利用する
自社に専門知識や人材が不足している場合でも、多言語対応の動画マニュアル作成ソフトを活用することで効率的な制作が可能です。
多言語対応ソフトは、スマートフォンやタブレットでの動画撮影から編集、多言語字幕の自動生成までをワンストップで行える機能を備えており、専門スキルがなくても比較的簡単に英語マニュアルを作成できます。
ただし、利用料金が発生するため、導入に際してはコストと機能のバランスを見極める必要があります。
制作会社に依頼する
高品質なマニュアルを短期間で作成したい場合には、英語対応の動画制作に実績のある制作会社への外注がおすすめです。
プロによる撮影・編集に加え、翻訳やナレーションもネイティブスタッフが対応するため、完成度の高い動画を制作できます。
海外ユーザーや取引先に提供するマニュアルであれば、信頼性を高めるうえでも効果的です。
ただし、制作費用が数十万円から発生することが一般的であり、修正や追加のたびに費用や日数がかかる点には注意が必要です。
効果的な英語の動画マニュアル作成のポイント
英語の動画マニュアルを効果的に作成するためには、単に日本語を翻訳するだけでは不十分です。
ここでは、外国語母語話者に伝わる効果的な英語の動画マニュアルを作成するために、各工程における押さえるべき3つのポイントを解説します。

日本語の原文作成
英語翻訳の前提となる日本語の文章は、明確で簡潔にすることが重要です。
一文が長すぎたり、曖昧な表現や専門用語を多用したりすると、翻訳の精度が下がり、結果として誤訳を招く可能性があります。
例えば、「なるべく丁寧に対応してください」といった曖昧な指示では、文化的背景の異なる受け手に意図が伝わりにくくなります。
可能な限り具体的な表現に変えることが求められます。
また、映像に登場する操作や動作と、字幕・音声の説明内容が一致していないと混乱を招く可能性があります。
動画の流れに沿って台本を作成し、整合性の確認を徹底しましょう。
英語への翻訳
英語に翻訳する際は、単なる直訳ではなく、文脈や受け手の背景を考慮した意訳が必要です。
特に日本独自の慣習や表現は、海外では意味が通じなかったり誤解を生むこともあります。
また、翻訳時には宗教・文化的背景の違いへの配慮も不可欠です。
例えば、身体的な接触や特定のジェスチャーは、文化によっては不快に感じられる場合があります。
翻訳者やチェック担当者にネイティブスピーカーを起用し、内容の妥当性を検証することが望ましいでしょう。
動画編集
映像編集の段階でも、国際的に伝わりやすい表現を意識することが大切です。
例えば、日本では「〇=正解」「×=間違い」と認識されますが、海外では「✓=正解」「〇=誤り」を意味する国もあり、アイコンの使い方一つで混乱を招く可能性があります。
また、色使いにも注意が必要です。
日本では、警告の意味で赤を使用することが一般的ですが、国によっては赤が「幸福」「祝い事」を意味する場合もあります。
文化の違いを考慮し、視覚的に誤解を生まないように設計しましょう。
多言語対応の動画マニュアル作成ソフト
ここでは、英語の動画マニュアルの作成が可能な、多言語対応の動画マニュアル作成ソフトを紹介します。
1. カミナシ教育
カミナシ教育は、従業員教育の効率化に最適化された動画マニュアルプラットフォームです。
字幕翻訳機能や音声翻訳が可能であることから、外国人スタッフの教育効率を高めます。
簡単な操作でマニュアル作成ができ、作業内容ごとに分類・管理がしやすい点も強みです。
実際に、外国人従業員の作業標準化のために活用した事例も多くあり、業務効率化や働きやすい環境づくりに役立てられています。
2. tebiki
tebikiは、現場作業の動画マニュアル化に特化したクラウド型ツールです。
100以上の言語に対応した自動字幕翻訳機能を搭載しています。
また、翻訳した言語の読み上げ機能、音声認識による高精度な文字起こし、翻訳精度の高さが魅力のソフトです。
実際に、外国人作業者の作業標準化のために活用した事例も多くあり、現場作業における課題解決を支援しています。
3. VideoStep
VideoStepは、製造業やサービス業など幅広い業種で利用されている動画マニュアル作成ツールです。
自動翻訳機能や翻訳した言語の読み上げ機能、翻訳した字幕や音声をダウンロードできる機能など、多言語に対応した機能が充実しています。
実際に、翻訳機能を活用した事例も多くあり、海外拠点や外国人従業員が多い現場にも適しています。
また、視聴ログや習熟度の可視化にも対応しており、教育効果の測定にも便利です。