知っていると便利!漫画制作で使われる用語集

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coneなセカイ編集

coneなセカイを編集している人。
自らもクリエイターとして、日々クリエイティブに関する課題解決で翻弄中。

企業がプロモーションや採用活動、研修コンテンツなどで漫画を活用するシーンが増える中で、制作会社やクリエイターとのやり取りで必ず登場するのが漫画制作の専門用語です。

しかし、漫画にあまり馴染みがない企業担当者であれば、「ネームって何?」「ベタとトーンの違い?」など、打ち合わせ中に一度は戸惑った経験があるのではないでしょうか。

そこで本記事では、法人企業・個人事業主向けに、漫画制作の現場で頻出する専門用語をまとめました。漫画活用を検討する企業担当者の方は、本記事で漫画制作の基礎知識を確認してください。

漫画制作工程で、よく使われる用語

漫画制作は、一般的に「企画→プロット→ネーム→下描き→ペン入れ→仕上げ(ベタ・トーンなど)→入稿」という工程で進みます。ここでは、制作の流れに沿って、現場でよく使われる用語を詳しく解説します。

プロット

プロットとは、漫画の物語全体の流れを文章で簡潔にまとめた設計図のことです。

企業案件の場合、訴求ポイント・ターゲット・導線(CTA)をどこで強調するかなどもプロット段階で固めます。プロットの精度が高いほど、後工程での修正が減り、納期短縮にもつながるため、BtoB制作では特に重要です。

  • 関連用語:コマ割り
    ストーリーの構成をもとに、1ページをどのようなサイズで区切るかを決める作業です。
    「迫力を出したいので大ゴマ」「テンポをよくしたいので4コマっぽく」など、読みやすさや訴求力を左右する重要な要素です。

ネーム

ネームとは、漫画の「設計図をビジュアルに起こしたもの」です。コマ割り・キャラ配置・セリフをコマの中に配置して、ストーリー展開をわかりやすく表現します。

企業側が最も確認すべき工程で、「構成案」「仮レイアウト」と呼ばれることもあります。

企業案件においては、下描きに入った時点でストーリーや大きな構図変更は原則不可となるケースが多くあります。大幅な変更はスケジュール遅延や追加費用につながるため、BtoB制作では「ネーム+ラフ」の段階でイメージをすり合わせておきましょう。

  • 関連用語:ミニネーム
    ページ全体の流れをわかりやすくするために、サムネイルのように並べてページを描き、ストーリー展開を整理することです。
    正式ネームの前段階で、方向性のすり合わせに使われます。スムーズに制作を進めたい企業は、この段階でしっかりチェックしておくとミスが減ります。
  • 関連用語:ラフ
    ネームよりも少し描き込みが進んだ段階です。
    キャラクターの表情やポーズがある程度見えてくるため、「印象が違う」「イメージしたテンションと合わない」などのイメージの調整を行うのに適した工程です。下描きに入ると大きな修正が難しいため、「ラフ=修正を行う段階」と覚えておきましょう。

下描き

下描きは、ネームで決まった構図・セリフ・キャラ配置をもとに、キャラクターや背景をより正確に描き込む工程です。ここから先は、作品の「見た目の完成度」が一気に上がるため、制作フローの中でも重要度が高くなります。

また、下描きはキャラクターの魅力やブランドイメージに直結するため、企業のトンマナ(トーン&マナー)やコーポレートカラーを反映したデザイン調整が行われることもあります。ブランドイメージを損なわないためにも、この段階で細かく確認することが大切です。

  • 関連用語:アタリ
    人物や背景の位置・角度・ポーズを丸や線で示した下準備のガイドラインです。視線誘導の流れや企業ロゴや製品の見せ方の配置など、作品全体のバランスを決める土台となります。
    企業向け漫画では、サービス説明や商品訴求が大きな目的となるため、「ユーザーの視線がどこへ向くか」を意識したアタリをつくることが重要です。

ペン入れ

ペン入れは、下描きをもとに線を清書し、作品の最終的な質を決定する工程です。アナログ時代はGペンや丸ペンが使われていましたが、現在はデジタル制作が主流となり、線の強弱や質感もデジタルブラシで細かく調整できます。

企業案件では、「キャラクターが与える印象」がブランドイメージに直結するため、ペン入れの段階での線の太さ・強弱の調整は細かく行いましょう。柔らかい細線なら優しい印象を、やや硬めで太い線では信頼性やプロフェッショナルな印象を与えられます。

また、商品訴求漫画の場合、ペン入れの段階で製品のアウトラインを正確に描くことが求められます。実在製品の表現は「著作権・意匠権」に配慮しながら描く必要があるため、ペン入れ段階での精度はとても重要です。

ベタ・ホワイト

ベタとは、黒インクで広い面積を塗りつぶす表現で、キャラクターの髪や服の影、夜・暗闇などのシーン、緊張感や恐怖を強調したい場面などで使用される技法です。一方でホワイトとは、失敗した部分を直す修正インクの意味とは別に、目の光や髪の毛のツヤ、ハイライト(光)を描くための技法として利用されます。

  • 関連用語:ツヤベタ
    髪の毛などで白く光る、光沢を出すためのベタ技法です。光の当たっている部分を示すことで、立体感やツヤを高められます。
  • 関連用語:ベタフラッシュ
    読者の視線を集めたい部分だけを残し、周囲をベタで塗る技法のことです。集中線とベタを組み合わせることで、心理描写などを演出します。

トーン

トーンは、漫画に色の濃さを加えるためのシート状のフィルムです。点や模様が印刷されており、原稿に切って張ることで、服の模様やキャラクターの表情、感情表現などに利用されます。

特にBtoB広告漫画では、難しい概念をわかりやすく見せるための「視覚補助」としての役割も果たします。ただし、使用しすぎると視認性が落ちるため、製品など伝えたい部分に強調することがおすすめです。

ちなみに、一枚300円以上することもあり、節約のためにデジタルに切り替えた、というクリエイターも多くいるとか。

その他、漫画制作に関する用語

ここでは、漫画制作に関する技法など、その他よく使用される用語について解説します。

モノローグ

モノローグとは、キャラクターが心の中で抱えている思いや、状況を読者に伝えるための「心の声」のことです。

吹き出しを使わず、枠外やコマの隅にテキストとして配置されることが多く、感情描写や物語の補足に活用されます。セリフでは表現しづらい繊細な心理を伝えたいときに効果的です。

カケアミ

カケアミとは、均一な線を複数方向に重ねて描くことで、影や質感を表現する技法です。

線の角度や密度を変えることで、立体感を出したり、キャラクターの心情を暗く演出することができます。デジタル作画ではブラシやトーンが多用されますが、アナログ独特の味を出したい場面で選ばれることもあります。

アイレベル

アイレベルとは、画面(コマ内の絵)を見ている「視点の高さ」のことです。イラストの構図を決める基準となります。

アイレベルが高いと、見下ろした構図になり「支配的な印象」や「広々とした印象」を与えます。逆に低いと、見上げた構図となり「迫力を見せたい」「臨場感を出したい」といったときに向いています。

基準線

基準線とは、キャラクターや背景を描く際に、位置関係をそろえるために使う補助線のことです。

例えば、キャラクターが並んで立っているシーンでは、頭や目線の高さを統一するために基準線を引くと、画面の整合性が保たれます。

パース

パース(透視図法)とは、平面の漫画で、奥行きや立体的な空間を描写するための技術です。

近くのものを大きく、遠くのものを小さく描くことが基本ですが、正確な描写のためには、消失点(1点・2点・3点など)に向かって線を収束させる方法が使用されます。

キャラクターが空間に馴染んで見えるかどうかはパースの精度によって大きく変わるため、背景作画の基礎として非常に重要な概念です。

描き文字

描き文字とは、「ドン」「バッ」「キラッ」などの効果音や強調文字を、絵として漫画の中に描き込む表現のことです。

フォントではなく手描きで入れるため、作者の表現力がそのまま演出に反映されます。音の強さ・速度・質感などを視覚的に伝えることができるため、多く使用します。

プロンプト

プロンプトとは、ChatGPTなどのAIに対する「指示文」や「入力文」を意味する用語です。最近の漫画制作においては、AIを補助的に使用する場合もあります。

作家の意図を正確に伝えるためには、プロンプトを具体的かつわかりやすく作成する必要があります。

【関連記事】:個人クリエイターにマンガ制作を依頼する時のポイントを解説します

漫画制作の権利に関する用語

企業が漫画・イラストを広告やオウンドメディアで活用する際、最も注意しなければならないのが「権利」に関する取り扱いです。

特に外部クリエイターに制作委託する場合、「どこまでが利用OKなのか」「改変はできるのか」「二次利用は可能か」など、事前に認識がズレているとトラブルにつながります。

ここでは、漫画制作に関連する主な権利について、実務で迷いやすい点にフォーカスして解説します。

著作権(著作財産権)

著作権とは、漫画・イラスト・キャラクターデザインなど、「創作した人が持つ権利」の総称です。

明確な契約がない限り、制作会社・クリエイター側に存在するため、SNS投稿・LP・広告バナーなどに利用する場合、契約で明記することが必須です。

著作権は、登録不要で発生します。企業が取得したい場合は 「著作権譲渡契約書」が必要となるため、あらかじめ制作会社・クリエイター側と協議しましょう。

  • 関連用語:著作者人格権
    著作権とよく混同されますが、著作者人格権は「作品に対する作家本人の人格的な権利」で、譲渡できません。「作品を勝手に改変してほしくない」「自分の名前を勝手に外さないでほしい」「自分の意図に反する使われ方は困る」といった、作り手の思いを守る権利です。

    再構成や漫画の加工などを行う可能性がある場合、契約段階で「著作者人格権不行使」の同意を得るのが一般的です。
  • 関連用語:複製権
    著作権の中に含まれる権利の一つで、作品をコピー(複製)できる権利のことです。
    企業が漫画制作を行う場合、同じ漫画を別広告に使ったり、社内マニュアルに転載したりするのも複製行為になるため、注意が必要です。

商標権

商標権とは、企業名・サービス名・ロゴ・キャラクター名などを保護する権利です。

商標権を得るには、広い業種分類ごとに登録が必要になります。例えば、漫画用に作ったキャラ名をグッズ化する場合、別区分の登録が必要になることもあります。

知的財産権

知的財産権とは、漫画制作に関連する一連の権利(著作権・商標権・意匠権など)をまとめて指す総称です。企業のマーケティングでは「IP活用」「IP戦略」という言葉がよく使われます。

肖像権

肖像権とは、人物の容姿・外見を許可なく利用されないための権利です。実在人物をモデルにしたイラストや社員を漫画に出演させる場合などでは注意が必要です。

例えば、社員の写真を漫画調イラストに加工したり、芸能人・著名人風のキャラに似せすぎてしまったりすると、トラブルに発展するケースもあります。

意匠権

意匠権とは、プロダクトやデザインの外見を保護する権利です。漫画制作そのものというより、企業キャラクターやUIデザインのイラストなどに関わるケースが多いです。

BtoBでは意匠権の取得はまだ少ないですが、ブランド強化や模倣防止には有効な手段となるでしょう。

パブリシティ権

パブリシティ権とは、有名人や企業キャラクターなどの「経済的価値」を保護する権利です。特に広告漫画の場合には、意識して制作することが求められます。

例えば、著名人風キャラの利用やキャラクターIPの無断使用などがないかどうか、必ずチェックしましょう。「似てるといわれたらアウト」ともいわれている分野であるため、慎重に確認する必要があります。

ライセンス

ライセンスとは、権利者が制作した漫画の使用を認める契約のことです。企業案件の漫画では、どのようにライセンス契約を締結するかが非常に重要になります。

例えば、期間限定ライセンスや媒体限定ライセンスなどがあります。また、改変の可否、二次利用の範囲などもライセンス設計に含まれます。

私的利用

私的利用とは、著作物を個人的・家庭内の範囲で使うことが許される例外ルールです。

ただし企業は関係ありません。TikTok・YouTubeショートでの引用も「私的利用」にはならないため、必ず事前に許可を取りましょう

【関連記事】:イラストや音楽の商用利用とは?著作権や利用規約などのチェックポイントを解説

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