近年、企業のマーケティングやブランディング戦略の一環として「オリジナルVTuber」の導入が注目されています。
活用法や注意点などを知っておくことで、他のマーケティング施策とは異なる効果を十分に得られるでしょう。
そこで、この記事ではオリジナルVTuberのメリットや基本的な制作プロセスから、
ファンエンゲージメントを高めるオリジナル楽曲の活用法、制作会社の選び方、著作権管理まで、
プロジェクト担当者が知っておくべき基本的知識を徹底解説します。
オリジナルVTuber導入のメリットと企業活用の可能性
オリジナルVTuberの導入は、企業のブランド認知度を向上させ、顧客との新しいエンゲージメントの機会を創出する効果的な手段です。
キャラクターの個性を通じて企業のメッセージを親しみやすく伝えることができ、
SNSやライブ配信などの媒体で幅広いターゲットにリーチできます。
特にSNSを日常的に使用している若年層に対しては強力にアプローチできるでしょう。
オリジナルVTuberの導入は、企業に新しいプロモーションの形をもたらし、
ブランド価値の向上や顧客との信頼関係の強化に貢献する可能性を秘めています。
VTuber制作の基本プロセス
VTuber制作の基本的なプロセスを以下にまとめました。
- VTuberのコンセプト・活動方針を決定する
- キャラクターデザインを制作する
- キャラクターの動きを加工(モデリング)する
- トラッキングソフトで、VTuberモデルの動作確認を行う
またVTuberを制作したのち、企業活動に活用するためには以下の工程を行うことも必要です。
- 機材を設定し、配信や撮影を行う
- 動画や画像を編集し、コンテンツを制作する
VTuberは、各工程において専門の制作ソフトを使用した作業の末に制作されます。
そのため、初心者がいきなり質の高いVTuber制作ができるわけではありません。
事前準備や制作者の技術力、丁寧な作業が、質の高いキャラクターや魅力的なコンテンツを生み出すのです。
VTuber制作に関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:VTuberの制作費ガイド!モデルや機材などの費用内訳を解説
関連記事:VTuberの作り方ガイド!2D・3Dモデルの制作から配信運用まで徹底解説
オリジナル楽曲の制作と活用方法
オリジナル楽曲の制作は、VTuberの個性を強化し、ブランドイメージを一層引き立たせる効果的な手段です。
音楽活動を中心に行うVTuber以外であれば、周年記念や登録者数突破記念などの際にオリジナル楽曲を発表することが多くあります。
オリジナル楽曲の制作と活用は、VTuberの魅力を引き出し、
視聴者との深いエンゲージメントを築く重要な要素として、企業にとっても大きなメリットをもたらします。
ここでは、オリジナル楽曲の制作方法や活用方法について解説します。
オリジナル楽曲の制作方法
オリジナル楽曲を制作する場合、専門的なノウハウをもった会社や個人に外注することが一般的です。
依頼先には、「音楽制作会社」や「個人クリエイター」が挙げられます。
メリット | デメリット | |
音楽制作会社 | ・一定のクオリティが担保される ・レコーディングまで一貫して依頼できる場合がある ・著作権などの権利関係が遵守される |
・個人クリエイターよりも高額 |
個人クリエイター | ・費用を抑えた楽曲制作が可能 ・制作者本人と綿密なコミュニケーションが可能 |
・クリエイターによってクオリティに差が出る ・権利関係に関するトラブルに注意が必要 |
自社の理想とするオリジナル楽曲を追求したい場合には、基本的に音楽制作会社に依頼することがおすすめです。
個人クリエイターの場合には、実績の有無や契約に注意は必要ですが、低コストで制作できます。
気になる依頼先に、事前に見積もりの依頼やコミュニケーションをしっかり取ることで、納得したうえで契約できるでしょう。
オリジナル楽曲の活用方法
オリジナル楽曲の活用方法を以下にまとめました。
- 周年記念や登録者数突破記念などの記念を盛り上げるきっかけとなる
- 配信やその他の施策で自由に楽曲を使用できる
楽曲を通して認知度の拡大や新規ファンの獲得につなげるには、VTuberのキャラクター性や企業のメッセージを音楽として表現することが大切です。
ライブ配信や動画で使用すれば、ファンの共感や記憶に残りやすくなり、VTuberとファンのつながりを強化できるでしょう。
オリジナルVTuberの著作権・商標管理のポイント
オリジナルVTuberの著作権・商標管理は、キャラクターやコンテンツの安全な運用とブランド保護のために欠かせない重要なポイントです。
まずはVTuberにおける著作権・商標について基本的な知識を押さえておきましょう。
オリジナルVTuberの著作権とは
VTuberを制作するうえで、最も発生しやすい問題が「アバターの著作権」です。
つまり、VTuberの顔や身体のイラストやモデルの著作権は、
制作した「クリエイター」と「依頼者」のどちらにあるのか、という点です。
依頼者がVTuberのアバターを利用するには、
契約時に「著作権の譲渡を受ける」もしくは「利用許諾を受ける」のいずれかについてクリエイターと合意する必要があります。
それぞれの意味をまとめました。
著作権の譲渡を受ける | 依頼者にすべての権利が移るため、自由にアバターを利用できる。 |
利用許諾を受ける | 著作権はクリエイターにあり、クリエイターとの間で別途、利用範囲に関する許諾を得る必要がある。 |
のちのちのトラブルを防ぐために、著作権の譲渡が可能な制作会社や個人クリエイターと契約することがおすすめです。
商標管理のポイント
VTuberのブランド保護を強化するために、キャラクター名やロゴなどの商標登録を行う場合があります。
VTuberキャラクターのデザインやオリジナル楽曲、動画コンテンツはすべて著作権の対象となるため、
適切に権利を管理することで第三者による無断使用や模倣を防ぎます。
長期的に活動するうえで、無断使用や模倣を防ぐことは非常に重要です。
オリジナルVTuberの著作権・商標管理を徹底し、
企業が安心してブランド戦略を展開できる環境を整備する必要があることも、覚えておきましょう。
【事例】企業VTuberのオリジナル楽曲が成功したプロジェクト
ここでは、企業VTuberがオリジナル楽曲を制作し、成功したプロジェクト事例について紹介します。
燦鳥ノム(さんとり のむ)
燦鳥ノムは、大手飲料メーカーのサントリー公式VTuberです。
世界のどこかにある「水の国」からきた飲み物が大好きなお嬢様であり、
サントリー製品のレビュー動画や歌ってみた動画、ゲーム実況など幅広く活動しています。
複数のオリジナル曲を配信しており、2024年12月現在、「Life is tasty!」は250万回以上再生されています。
サントリー製品のレビュー動画の数は多くないものの、多くのファンが定着していることから、
間接的にサントリーのファン獲得や製品の売上向上に貢献しているといえるでしょう。
YouTubeチャンネル:YouTube「燦鳥ノム – SUNTORY NOMU -」
サントリー公式HP:燦鳥ノム設ページ
根羽清ココロ(ねばせい こころ)
根羽清ココロは、ロート製薬の公式VTuberです。
ロート製薬でスキンケアを研究しながら広報活動を行っている正社員であり、
製品紹介やスキンケアに関する動画コンテンツ、歌ってみた動画、ゲーム実況など幅広く活動しています。
2024年12月現在、3曲のオリジナル楽曲を配信しており、いずれも登録者数の3倍以上の再生数を記録しています。
そのうちの一曲「おやすみのあーる」では、MVにはロート製薬の製品が描かれており、
製品やブランドに関する認知度の拡大に貢献しているといえるでしょう。
YouTubeチャンネル:YouTube「Cocoro Ch by ロート製薬」
ロート公式HP:ロート公式YouTuberページ
ブランディング成功のために
オリジナルVTuberと楽曲の活用は、企業がブランド認知を高め、顧客と感情的に結びつくための新しい手法として有効です。
VTuberの個性とオリジナル楽曲を通じて企業のメッセージを発信することで、
従来の広告手法では届きにくい若年層にも深くリーチできます。
そのためには長期的な目線でコンテンツを制作し、
消費者をファンとして育てることがVTuberを活用したブランディングの成功のポイントとなります。
これまでにない新しいブランディングに挑戦してみてはいかがでしょうか。